バレンタイン

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18時30分。 ゆうくんが迎えに来た。 手を繋いで、駅の反対側にできたフレンチレストランに向かった。 大人気でなかなか予約が取れないらしいのだが、ゆうくんは随分前から予約してくれてたらしい。 19時。 シャンパンで乾杯。 「奏、誕生日おめでとう。」 ゆうくんが優しく微笑んだ。 「ありがとう。」 ゆうくんが頼んでおいてくれたコース料理を食べながら、幸せな時を過ごした。 最後のデザートを食べ終わり、私は、ガトーショコラの入った紙袋をテーブルに出した。 「ゆうくん、これ、もらって。 ゆうくんが大好き。 子供の頃から、ずっと義理チョコのふり してたけど、ほんとはずっとあれも本命チョコ だったよ。」 ゆうくんは、嬉しそうに笑った。 「中学生の頃の俺に聞かせてやりたいなぁ。 あの頃、奏は俺の事、友達としか思って ないから、河合の応援してると思って落ち 込んでたんだからな。」 「ご、ごめんなさい。」 私がしゅんとして謝ると、 「いいよ。もう気にしてないし。」 と、ゆうくんは頭を撫でてくれた。 「開けていい?」 「いいよ。」 ゆうくんは、袋を開くと、目を細めて嬉しそうに笑った。 「ありがとう。 俺が毎年、楽しみにしてたやつだ。 帰って食べるのが楽しみ。」     
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