再会

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再会

「……ここまでで、何かご質問はありませんか? 」 それまで説明をしてくれていた、おそらくアラフォーだと思われる総務課長が、全体を見渡して尋ねる。 「……なければ、ここで一旦休憩とさせて  いただきます。  次は、10分後の10時40分から、実務について  説明いたします。」 そう言うと、課長は机上に置いていたバインダーを手に会議室を出て行く。 その直後、 …… ふぅぅっ 緊張を解かれたことによるため息が、そこかしこからもれた。 12月3日(月) 私、橘 奏(たちばな かなで)は、OK(オーケー)コンピュータサービス(株)に半年間の短期のパート社員として入社した。 採用人数は10名。 見た感じ、私以外は、ほとんどが主婦のように見える。 パートだもんなぁ。 主婦が多いのは当たり前かぁ。 ……話、合うかなぁ? 人見知りの私は、周りを見渡して心配と不安でいっぱいだった。 すると、そんな私の心配をモノともせず話し掛けてくれる人がいた。 おそらく30代だと思われる、小柄でややぽっちゃりした女性。 「橘さんだっけ? 若いよね!? いくつ?」 彼女は、人懐っこそうな明るい笑みを浮かべて尋ねる。 「高木…さん? そんなに若くありませんよ。  もう26になります。」 そんなありきたりな自己紹介から、会話が始まる。 主婦のパワーは私の想像よりずっと凄い。 みんな臆することなく誰にでも話し掛けていて、人見知りとは無縁のように思える。 たかが10分で、家が近所だの、子供が同い年だの、それぞれの共通点を見つけてどんどん会話を広げていく。 パートだけど、一応同期入社。 ある種の結束が生まれているようだった。 世の中は世話好きな主婦によって円滑に回っているのかもしれない。 私の緊張も少しほぐれた気がした。
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