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蕎麦
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蕎麦
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12月8日(土)
昨夜、アルバイトで帰りが遅かった私は、朝9時過ぎまでのんびりと朝寝坊した。
遅い朝食を食べ、洗濯物を干すと、荷物が入ったままの段ボールが気になったが、ピアノを弾くことにした。
自分でも分かってる。
引越しの片付けをしたくない事による現実逃避だ。
11時半、満足するまでピアノを弾いた私は、ゆっくりとピアノの蓋を閉め、防音室を出た。
このマンションは、楽器可の防音の作りにはなっているが、グランドピアノを弾くには、やはり防音室が欠かせない。
私は、時計を見て、昼食の準備をすべきか、荷物の片付けをすべきか、迷っていた。
ベッドに腰掛け、考えていると、
─── ピンポーン!
玄関チャイムが鳴った。
ん!?
下からのインターホンではなくて???
モニターを見ると、そこにいたのは、ゆうくんだった。
ガチャ
ドアを開けると、
「こんにちは。」
そう言って、にっこりと微笑むゆうくんがいる。
「こんにちは。
どうしたの?」
「腹減ったから、昼飯行かないかなぁ…と
思って。」
「えぇ!?
でも、私、スッピンだし…。」
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