ピアノバー

1/3
1109人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ

ピアノバー

・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ ピアノバー ・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ 12月14日(金) パートの勤務時間は、5時間。 毎日9時30分に出勤し、午前10分、昼40分、午後10分の計60分の休憩を挟んで、15時30分に退勤する。 今日も15時半過ぎに退勤した私は、徒歩でまっすぐ自宅に向かう。 16時頃、帰宅し、18時までピアノを練習する。 ピアノバーでの演奏曲には、特に指示はない。 毎回、私の好きなように演奏させて貰っている。 今日は、何を弾こう? 12月だし、定番のピアノ曲にクリスマスソングを何曲か織り交ぜながら…でいいかなぁ。 ピアノバーでの演奏は、1時間×2ステージの契約。 20時からと22時からの2回のステージ。 緊張しないと言ったら、嘘になる。 それでも、子供の頃に出ていたコンクールとは違い、心地いい緊張感だ。 18時。 軽く食事を取り、メイクを直し、腰まである長い髪を緩く巻いて、出掛ける準備をする。 19時。 ドレスを手にホテルに向かう。 19時半。 ホテルの控え室で着替えを終えて、本番に向けて心を落ち着かせていく。 19時50分。 本番前にスタッフルームからフロアを覗いた。 この時間帯は、ディナーを楽しみながら…というお客様も多い。 まだまだ満席ではないが、半分以上のテーブルが埋まっていた。 その時ふと、ピアノの右側のテーブルに白い《 Reserve 》のプレートが置かれているのが目に付いた。 演奏中、嫌でも目に入るその席には、どんな人が座るのだろう? アルコールの提供があるため、ごく稀に演奏の妨害をするような酔っ払いが混ざる事がある。 今日も無事、演奏を終えられますように…。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!