これはある世界において現実である

12/20
前へ
/21ページ
次へ
電話が鳴ったのは冬夜が目覚めかけた時だ。 「、、なんだ」 『あら、ご機嫌斜めね。寝てたのかしら、ごめんなさいね』 シャルドネだった。 「別に。用件はなんだ」 『そんな冷たい言い方しなくてもいいじゃない。あなたのことが心配だったの。ちゃんと食事は食べた?』 うん、食べたよ。 ねえ、ここへ来てくれないの? 『ダメなのよ、私はそこへ行けないの。いい子だから、ちゃんとご飯を食べて、眠るのよ。毎日電話するから』 君がいないと僕は寂しくて消えてしまいたい。 『そんなこと言わないで、消えないで。私のために、消えないで。冬夜、声聞こえてる?冬夜?』 冬夜はハッとした。 今俺は喋っていたか? 「ああ、聞こえてる。俺、なんか言ったかな」 『いいえ何も。気のせいよ。それじゃあまたかけるわね。おやすみハニー』 電話は切れた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加