これはある世界において現実である

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それから幾日か過ぎた。 冬夜は気の済むまで眠り、腹が減ったら食べ、思い出したように風呂に入り、どこからが一日の始まりで終わりなのか分からないように日々を過ごした。 後少しの筈だ。 最低でも2週間、とシャルドネは言った。スマホを見ると、日付はあと2日で2週間だ。 ループを抜ける。 ループとはなんなのか、なぜそんなものに陥ったのか、分かりようもない。その時自分が何を調べていたのかも思い出せない。 シャルドネ。 俺は何故ここにいるんだろう、と冬夜は思った。 分かってるのは、自分の意思でここへ来たということ。 ここにはきっと君がいるって、知っていたからだ。 冬夜は頭がズキズキと痛んだ。目の奥が矢に貫かれたような痛みだった。 こんな時も、君は俺に薬をくれた。これで良くなるよ、大丈夫。そう言って。 だけどそれはこの街での出来事じゃない。あれは、、 『大きな病院に行ったのよね、冬夜。 あの日は酷い頭痛で、駅から離れた病院までの道のりあなたはとても辛そうだった』 うん。あの日は辛かったな。 丸一日起き上がれずに痛みでうなされてた。 何も食えなくて、良くなってきた時に君が作ってくれたシチューは美味かったな。 『少ししか食べられなかったわよね。辛かったわね、でももう大丈夫。 よく効くお薬ももらったから、安心よ』 冬夜は幻のシャルドネの声を毛布に包まって聴いた。嬉しくて子供のように頬が緩んだ。 「もっとそばにいてよ。もう離れて行かないでよ。ずっとここにいて」 ずっとここにいて。 冬夜はすっぽりと中身の無くなった自分の体を抱いた。かつてシャルドネはここにいた様な気がする。 その温度を感じることができた。 『冬夜、ここへ何故来たのか本当に忘れてしまったの?』 何故ここへ来たのか?? 冬夜は心臓がひんやりした。 そうだ、俺は、本当は 死んで、君を追いかけてきた。
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