これはある世界において現実である

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君を好きになってしまった。 それはまるで鏡だらけの迷路に入り込んだ様だった。 誰にも許されない。 俺は自分を抑えて自分に嘘をついて、 鏡にぶつかっては割れた破片で切り裂かれて、なのにいつまでも頭は正常なのだ。 いっそ狂って死ねたらよかったのに!! 鏡で切り裂かれてる間俺は人と会話し、仕事をし、恋人を作って愛し合いさえもした。 どこから見ても「まとも」だった。 だけど頭は違う!違う!と叫び続けていた。 迷路の先に君が走っていくのが見えた。 君は俺の最後の希望。なのに絶対に気持ちは叶わない。 それより苦しいことを俺は知らない。 手に入らないのなら、君が見えないくらいどこか遠いところへ逃げてしまおうと思った。 でもダメだった。 離れれば離れようとするほど君を好きになる。 そんな時、突然に、君は死んでしまったんだ。 交通事故だった。 大好きな、大好きな 俺の姉さん。
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