これはある世界において現実である

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冬夜は恐怖におののきながらドアを開けた。 そこはいつもと変わらない風呂場だった。 白いタイルの、明るい風呂場だ。 ホッとした。 何かがいる訳がないのだ。 冬夜はシャワーを浴びて新しいスウェットに着替えた。 その時玄関のチャイムが鳴った。 「定期訪問です」 若い女の声だった。 「名は?」 「シトラス。 南部支局第2監査官」 冬夜は扉を開けた。 「新しい女だな。」 「はい。これからいつもの様にあなたの検査を行ないます。それと」 シトラスは散らかった冬夜の部屋をざっと見渡した。 「、、少し整理が必要なようですね」 「好きなようにしていってくれ。」 冬夜は慣れたようにベッドに寝転ぶと、両手を広げた。 シトラスはそっとまぶたに触れた。
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