陽炎

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「そんな顔しないでよ。せっかくの告白なんだからさ。」 オレは上手く笑えてるかどうかわからなかったけど、笑いながら兄にそう告げた。 泣き笑いのような、変な顔だったかもしれない。 けど兄はそんなオレを見て、その顔をくしゃくしゃにして笑ってくれた。 「……お前のこと、好きだったよ。」 「オレもだよ、兄ちゃん。」 煙突から立ち上る煙が細く長くなっていく。 不確かな存在だった煙突は、確かにそこにあった。 陽炎はゆらゆらと、消えていった。
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