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「大変な事になったな・・・。」
「ねぇ、米軍って言ってたよね。アメリカって事よね?アメリカって友好的なんじゃなかったの?」
「わからない。ただ一つはっきりしている事は、急いでここから逃げ出す事だ!」
スクーターのエンジンをかける。男性の背中にぎゅっと抱き着く女性。白いノースリーブがパーカーの中からはだける。
「いやらしい事しないでよね。」
女性がにらみつける。
「今、そんな事言っているばあいか!」
男性は思い切り地面をキックする。スクーターは走りだす。
上空を旋回していた米軍とみられる戦闘機がまた爆音と共に戻ってきた。どうやら爆弾を投下するつもりのようだ。
「急がないと・・・」
男性は加速度的にスクーターの速度を上げる。
「きゃっ」
「ちょっとキツイけど、がまんなー!」
国道の横には並行して川が流れていた。川は少しずつだがスクーターが走るこちら側の道と沿うように流れをかえて、徐々に国道からこの道は遠ざかって行った。
程なく住宅街に入る。工場の跡地や、なんらかの野球の練習場のような空き地を通りすぎる。そうやって少しずつ距離が離れて行く。
その時上空を米軍機と反対方向から飛来する戦闘機の姿があった。
「あれは自衛隊なのかな・・。」
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