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「え?何?何言ってるの?聞こえない!」
「あれは、じえいたい、なのかな、って!」
「そんなのわかるわけないじゃない!!」
遠くで爆発の音がする。熱風がこちらまで吹き込んで来る。その熱風から逃れるかのごとく、二人の乗ったスクーターはどんどんと町の郊外へ向かった。
「ねぇ!」
「え?」
「ねぇ!」
「なに!」
「どこに行くの!」
「俺の家!」
「なんで、あなたの家なの?」
「だって、とりあえずそんな所しか思いつかない!」
「あの感じだったら、あたしの家、燃えちゃってると思うし、とりあえず、あなたの家に行く!」
「もう少ししがみついてろよ!」
十数分、スクーターは走り続けた。道路の路肩には沢山の自動車が途中で停車していた。この先が完全に通行止めになった為に、車が立ち往生しているのだ。その状態を横目にスクーターは郊外に走り去った。
二人はなんとか男性の自宅のマンションにたどり着く。マンションは3階建てだった。オシャレなデコレーションが施されたオートロックの入り口をくぐり、エレベーターにのって部屋に向かう。二人はなんとか安住の地を得た。
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