【終わりの始まり】

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 しかし――私は。  自分の中にある性欲を満たしたいとか。  自分の中にある食欲を満たしたいとか。  自分の中にある睡眠欲を満たしたいとか、  そういうモノはどうでもいい。……うん、心底どうでもいい。むしろ邪魔だ。  私はそもそも……“満足に動くことができない”のだから。  不運にも交通事故に遭った私は下半身麻痺――つまり足が全く動かない状態になってしまった。  それどころか、右腕にしびれが続いていたりなど、様々な後遺症が残っている。  だから私はなにもできない――だからこそ私は。  今一番してみたいこと――『世界の終わりの光景』がどれほど素晴らしく、素敵で綺麗なのか、それを見てみたいのだ。
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