【事の始まり】

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 可能性としてはあり得なくはないが、しかしこの程度の為にテレビ局の電波をジャックした、などとは考えにくい。  もしそうだとしたら、速報ではなく『映像』として何かの映像が流れるはずだ。  では……これは一体なんだ?  これから起きること、とは一体なんなんだ?  そして“事実”というのは一体――――  その理由を考えている間に、観ていたはずのバラエティー番組が急に変わり、画面には政府のお偉いさんらしき人物の姿が映っていた。  なるほど、この速報の意味を伝えようと急遽テレビに出たのだろう。  そう考えた私――だが、その人の顔はなにか覚悟を決めたかのような表情だった。  その真剣な面差しから、重い口から――テレビの前で、その人はこう言い放った。 『この世界はもうすぐ終わります』――と。
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