処方箋:殺人

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処方箋:殺人

-とあるパーティー会場にて- 「作曲家?」と女性の声。 「いいえ、アーヴィング・バーリンではありませんし」と主宰者らしき男性。 「クラシックではよく出てくる?」と男性の声。 「いや、そうとは言えません」と返す。 「政治家!」と女性の声。 「うぅん、違います」と返す。 「じゃあ、有名なエッセイスト」と男性の声 「いいえ、それも残念ながら」と返す。 「じゃあ、有名な殺人犯?!」と女性の声。 「ハズレ、リジー・ボーデンじゃない」と返す。 「貴方、頼むわ。もぅ、頭文字Bはタネギレよ」と女性の声 「よーしよし、貴方は十八世紀にイギリスの有名な法学者でしょ」と男性の声 「如何にも検事らしい質問だが、あいにくサー・ウィリアム・ブラックストンじゃない」と返す。 「パスよ。もぅ、貴方とこのゲームをやる度に私、学大生の気分になるわ」と女性の声 「どうやら全面降伏ですかな?」と返す。 「分かったよ。誰なんだ」と男性の声 「まだ駄目よ。粘らなくちゃ」と主宰者らしき男性の横にいる若い女性。 「これじゃもぅキリがないよ。さぁ、誰だい?」と男性の声 「簡単さ。ジョゼフ・ブラウアー」と返す。 「誰?」と若い女性。 「ブラウアー。フロイトと共同でヒステリーの研究を執筆してる」と答える。 「酷いわ。先生の専門分野じゃないの。みんなが知ってる人じゃなきゃ駄目よ」と返す。 「そう言うけどね。この前は君、アレクサンダー・グラハム・ベルでやられたじゃないの」と男性が返す。 横にいた夫人が少し笑う。 「主人の知性と教養のご披露が終わったら皆さんにお目にかけたい物があるの」と何かを出す準備の為、扉に向かう。 「さぁ、行きますよ」と女性の声。 すると、色鮮やかな花火が立つ大型の記念日ケーキが出て来た。 「うぉ。キャンドル、凄〜い!」と女性の声。 「僕はコレを冷たい内にやりたいね」と主宰者の男性がワインに手をかける。 「おいしそう」と女性の声。 「では、この辺で乾杯といこうか!」主宰者の男性。 「我らがホストとホステスに。二人の結婚十周年を心からお悔やみして」とジョークを効かす男性の声。 「訂正して下さい。今の発言は」と主宰者の男性。 「はい、裁判長。我ら素晴らしき友人二人に更に十年の幸福を祈って」と男性の声。 祝福された中年夫婦がグラスを鳴らす。 と電話が鳴る。 「失礼」と主宰者の男性が席を外す。 その間に「さぁ召し上がって」と主宰者の男性の夫人が客にケーキを振る舞う。 「もしもし、今!待てない?…あぁ今、パーティの最中でね…じゃあ、なんとかする」と受話器を切る。 精神分析医の槍乃 純は、妻の聖歌に浮気がバレて離婚を告げられていた。 「何なのよ!!あの女!!」 「すまない!!もうしないから、きっちり別れる。」 「いや!私の方が願い下げ。別れましょう」 「そんな事、待て、待てって……」 (妻は記者との面識が良い方、何か書かれたら…) 市内にある豪邸地区の一軒で強盗事件が発生、死者が一名。 「どうも。」 「どうも。」 「あまり、哀しんでおられない様で。」 「そうですか?まぁ、毎日毎日、心を病んでいる方と対面していますから。」 「ん~~。」 「あの、貴方は?」 「あっ、すいません、愛知県名古屋市警から来ました。阿摩羅 真直と言います。」 「刑事さん?!」 「警部補です。」 「見えないなぁ。」 「笑笑、よく言われます。」 「こういう場合、刑事さんが来るのでは?」 「そうなんですが、一匹狼な所がありましてね。気になればトコトンなんですよ、私」 「はぁ。」 「いやぁ、しかし。いざ身内の方が亡くなってしまうとなると。」 「まぁ、よく冷めてるねと言われます。」 「成る程」 「実際、妻とはあまり良くはありませんでしたから。」 「そうですか……」 「あの、気になる所とは?」
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