カメラは誰のもの?

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カメラは誰のもの?

「どう?俺のカメラの使い心地は」 「俺のカメラ?よく言うよ。重いとか、スマホの方が楽だ、とか言って全然使ってないくせに。買ったのは私。私が汗水たらして働いたお金で買ったんだから、私のもの」 「じゃあ、その指輪は俺のもんだ。給料3ヶ月分はたいて俺が買ったんだから」 「この指輪が?こんなにかわいくてキラキラのダイヤがついてるのに?これは私のものです。だって、毎日つけてるんだから、あなたと違ってきちんと使ってるんです」 「なんだよ。結局総取りかよ」 「やっぱりさ、婚約指輪のお返しは、スーツとか、時計とか、そういう定番にしとけばよかったんじゃない?仕事で使えるでしょ」 「仕事で使えるものなんて別にいいんだよ。ほら、貸して」 カシャ 「こうやって、家族の思い出残せるものの方がいいだろ」 「まだ家族じゃないけどね」 「あと30分もすれば家族だろ。ほら、市役所閉まるから行くぞ」 「婚姻届は24時間受け付けてくれるって言ったでしょ」 「まーたそういう揚げ足とるようなことを……。とりあえず、行こう?」 「待って。もう1回、貸して」 カシャ 「独身最後の1枚。次に撮る写真からは、家族の思い出だよ」 「そうだな」   「そんでもって、このカメラは我が家のカメラ。つまり私のカメラでもある」 「だから、それは俺のカメラだってば!」
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