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第10話二人きりの時間
「…そろそろ帰りましょう。」
そう言って、炭谷はネクタイを締めた。
さっきまであんなに激しく抱き合っていたのに時間が来ればあたし達の関係はおしまい。
それはまるで、燃えていた蝋燭がふっと消えたよう。
それなら時間なんていらないのに。
でもセフレの立場のあたしはそんな事言えない。
「…うん。」
そしてあたしは着ていた服に着替え
脱がされたストッキングを履いた。
炭谷がジャケットを羽織る姿が
新見さんと一緒にいた時と同じ後ろ姿に重なって見えた。
もっと一緒に居たい。
このまま、朝なんて来なければ良いのに。
夜だけは炭谷をあたしの物にしたい。
身体を重ねるごとにあたしは炭谷に対して想いが強くなっていた。
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