EndLess

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決して開けてはならない扉があった。 いつから其処にあったのか、何故開けてはならないのか、一切の疑問を物ともせず、その扉は静かに佇んでいる。 ただ時折、漏れ聞こえる声が僕の何かを揺らす。微かに聞こえてくる嗚咽は時が経つに毎に少しずつ大きくなっていく。 声が鮮明になっていくにつれ、それが纏う感情が見えてくる。 胸を刺すような切なさと、凍り付くような寂寥の響き。身を切るような叫びは、聞く側の心さえも引き裂くような痛みを感じてしまう。 差し出した手が冷たく、無機質な縁に触れる。吸い付くような木の感触に少しだけ心が戸惑う。けれど一度手についた箇所がまるで自分の意思とは関係なく、ゆっくりと力が入った。 音もなく、静かに扉が開く。逆光で見えないそちら側は一体どうなっているのだろう。 目を凝らし、息を飲み、蔓延する緊張感はしかし、一言で遮られる。 ”駄目だよ” 不意に耳元で囁かれた声。扉へ添えられた手は仄かな温もりに包まれそっと引き離される。 驚嘆の声も出せず、突如として現れた人の気配を窺うと、そこには白喪服姿の人影があった。     
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