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俺が驚くのも無理は無い。
面接室に入ってきたのは、確かに年相応の高校一年生といった雰囲気だったのだが、なぜかセーラー服にツインテの女子だったからだ。
「もしかして今日は学園祭とか、コスプレイベントの帰りってことかな?」
「いえ。この格好が僕の普段着です。」
「と言うと?」
「僕、昔から女の子の格好をするのが好きなんです!」
「.....」
所謂『男の娘』だった。
こりゃ駄目だなと思いつつ、俺は一通りの質問を投げることにした。
「そ、それでは轟くん。早速、面接を始めたい思うのだが、まずは君がマイティーレンジャーへの入隊を希望した動機を聴かせてくれるかい?」
「僕、昔から『魔法少女』に憧れていたんです。」
「は?(だったらそっちの団体申し込めよ!)」
「だから巷で噂になっている魔法のスッテキが貰える某サイトに申し込んだんですが...」
「既にキャラが被るメンバーが居るってことで断られてしまって。だけどどうしても僕、正義のヒーローになる夢を諦められなくて!」
「な、なるほど(厨二病かよ!)。では入隊にあたって、轟くんがアピールできる武道経験や特技はあるかな?」
「はい。中国拳法を10年近く続けています!」
「ほう! どんな流派を習っているのかな?」
「流派ですか? 流派はよく判らないのですが、キャラは『チュン・◎ー』です。」
「へ? それって...(それってeスポーツじゃねえか!)」
頼むよ人事、仕事してくれよ。
会話を続ける気力も失い、失意の中、俺は形だけの最後の質問を投げかけた。
「わかりました。それでは最後に、マイティーレンジャー入隊にあたって、何か君の要望はありますか?」
「ではお言葉に甘えて...」
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