【三人目の候補生】

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【三人目の候補生】

疲れた... 二人目の面接を終えた時点で、俺の心は既に折れかけていた。 応募者は残り一人。 必殺技は使えないものの、二人でチームを組めれば戦術の幅も大きく広がる。 面接三人目は『早乙女 翔』21歳。中国拳法の八極拳の達人らしい。他にも突進力では負けないと書いてあるな。これは期待できるかも知れない。俺は祈るような気持ちで最後の面接に臨んだ。 コンコン 「入りたまえ。」 「失礼します。」 入室してきた入隊希望者を一目見て、俺の心は小躍りした。キター!こいつは正真正銘の男だ! 「はじめまして。立花翔です。宜しくお願いいたします。」 「マイティレンジャー隊長の大鷲丈治だ。こちらこそ宜しく!」 「それでは早速、面接を始めたいと思う。早乙女くんはなぜマイティーレンジャーへの入隊を希望されたのかな?」 「はい、自分は幼少期から祖父より八極拳の手ほどきを受けて育ちました。高校卒業後も中国へ渡り、各地の老子を訪ね、ひたすら技に磨きを掛けて参りました。この力を是非、日本の平和のために役立てたいと思ったことが志望動機です。」 完璧だ。 立ち居振る舞いといい、声の張りといい。若いが正真正銘の武道家だ。正に俺が求めていた人材だ! 「俺も八極拳には昔から興味があった。何か簡単なもので構わないので、君の得意な套路(型)を披露してくれないか?」」 「はい!」 低い重心と力強い歩法。地鳴りがしたかと思うような踏み込み音と共に、早乙女が見せた套路は正に「陸の船」という体だった。あまりに強い踏み込みに、来賓用に出された飲み物がひっくり返り、早乙女の上半身を濡らしてしまう程だった。 「素晴らしい套路だ! あまりの威力に君の服がびしょびしょに濡れてしまったな(笑)」 「て、あれ?」
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