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第3章 藤原紀香
平成27年3月に千葉県立千葉大宮高等学校を卒業した私は、高校在学中、叔父の経営する会社で働いていたが、以前、兄弟が話していたタクシー乗務員に対して徐々に真剣に考えるようになっていた。叔父の会社は【身内が経営する】という関係上、確かに居心地は良かった。しかし反面、今まで経験したことのない世界に飛び込んで修行を積むことも、今後の人生に役立つのではないか。それに接客業も勉強してみたかった。
タクシー会社の面接では、第二種普通自動車免許が必須とのこと。それを入社における条件と捉えた私は千葉市内の3ヶ所の教習所を当たってみたが現在は二種免の教習は行っていないとの回答(後に市内の他2ヶ所の教習所が二種免の教習を行っていることを知った)。
(さて、どうしたものか…)
暫く思案したあと、あることが頭に浮かんだ。
(合宿教習所という手もあったな…)
早速、インターネットで合宿教習所を検索し普通二種免許をやっている教習所を探した。
まず目に飛び込んできたのが、
【南湖自動車学校】
という福島県白河市の自動車教習所だった。
(福島か…)
(よし、予約センターに電話してみるか)
早速スマホを手に取り予約センターに電話をかけた。
プルルルル
プルルルル
「ハイっ!お電話ありがとうございます○○合宿教習所予約センターでございます」
藤原紀香のような声が耳に響いた。
「あの、南湖自動車学校の合宿教習所、予約取れますか?」
私は、電話の相手が本物の藤原紀香のような気がして若干緊張した。
藤原紀香は、
「はい、毎週土曜日が入校日になっています。すぐに予約を取れますが、普通免許ですか?」
と、カナリヤのような声で囁きかけてきた。
「いえ…普通二種です」
「二種ですね。わかりました。えっと、10月17日に予約をお取りします。では、いくつか質問があります」
「はい…」
「免許取り消し処分、または、失効したことはありますか?」
「はい…取り消しが1回と、失効が2回です」
それを聞いた藤原紀香は
「えっ」
と、驚いたような声をだした。
私は、取り消しや失効になった経緯を簡単に話した。
「その点は運転免許経歴書を教習所に提出していただければ結構ですよ。では、次に…」
現住所や連絡先、料金プランの説明のあと、
「では最後に…」
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