第3章 藤原紀香

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「はい…」 「刺青、タトゥー等は大丈夫ですか?刺青が入っていますと共同生活ですので他の教習生が怖がりますから教習所の方でお断りしているケースが多いのです」 「刺青ですか…入っています。ダメですか?絶対に見られないようにします」 私は絶対に迷惑をかけない旨を藤原紀香に伝えた。 「分かりました。少々お待ちください」 私は、世の中は理不尽だとあらためて感じた。刺青を入れた者は、スーパー銭湯どころか合宿教習所にも入ることができないのか… 刺青を入れているだけで怖がられたりヤクザに見られたりする現実が悲しく感じた。 こうなったらEXILEにでも入れてもらうしかないのかな… そんな理不尽を嘆いていると、再び藤原紀香の声が聞こえ私は現実に引き戻された。 「今、上司に相談して、南湖自動車学校に連絡をして確認をとってもらいました。他の生徒に見られないようにしていただけたら大丈夫だそうですよ。良かったですね。私もハラハラしました。せっかく申し込んでくれたのに、駄目だったらどうしようかって…」 「ありがとうございましす。良かった…」 お礼の言葉を伝え電話を切った私は、南湖自動車学校の社長の心の広さ、そして予約センターのスタッフの尽力に深く感謝した。
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