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だから、何でもいいからとりあえず就職してこの施設を出れる方法として、寮があってプライベートな時間がとれるこの美容師の道を選んだの。始めは美容師の仕事はあまり好きじゃなかったけど、独り立ちするには一番早いと思ったから。」
しかし今となってはこれで良かったかもしれないと納得するみずきだった。
すると突然ピグがこう聞いてきた。
「ねぇみずき。みずきには愛する人はいないの?」と。
(唐突に何を聞くのかと思えばーーー!)
「今はいないの。5年前に一応ボーイフレンドって感じの人とは付き合っていたけど、そこまで愛してはいなかったかな?だから、そんなに長続きはしなかったよ。」
とみずきは答えた。
ピグは真剣な眼差しで見つめてまた聞いてくる。
「ウソっ!今までで心から愛していた人がいるはずよ!」
(なっ!何で分かるの?!お見通しって訳かー。)
「その通りだよ。今でも忘れられない今までで一番愛した人が一人いる。もしかしたら今もずっと愛しているかもしれないの。」
ピグはウンウンとうなずいた。
「忘れようとしても忘れられない人……。わたしが16歳の時……。付き合いは3年続いたよ。初恋の人……。愛して止まない……。……。……。今も……。これからも……。きっと……。」
ピグはどうしてそんなに愛した人と別れたのだろうと思ったが、みずきの目を見れば大体分かるのだった。
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