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「良かったですね。大まかにこちらの要望を飲んでいただきました」
「はい。ありがとうございました」
辻の事務所へ行ったのは、五月の連休に入ってすぐ、よく晴れた午後のことだった。
離婚が成立した、と毅から連絡が入ったのだろう。
義母からは何度も電話が鳴り、謝罪のメッセージが送られてきていた。
まぁ、親として謝りたくなる気持ちも分からなくないが、毅も三十歳をとうに超えた大人である。
親からの謝罪など必要ない。
だから、無意味に責められないだけいいか、と思うようにしていた。
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