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まだ外は明るく、今すぐ飲める店が限られていたこともあり、旭はイタリアンの店に連れられて来た。
一先ずはピザとビールで乾杯をしよう、と辻は言う。
「乾杯。おめでとう」
「ありがとうございます。本当にお世話になりました」
旭が深々と頭を下げると、辻は優しく微笑んだ。
それでも、目の奥は笑っていない。
何だか観察をされているような居心地の悪さを感じるが、きっと彼女は悪い人ではない。
弁護士という仕事の大変さはよく分かっていないが、きっと何か注意深く観察をしてしまうものなのだろう、と勝手に解釈している。
「それでね。酔う前に、確認をしておきたいんだけれど」
「はい?なんでしょう」
カルパッチョやアヒージョを目の前に並べ、彼女はグイッとグラスを傾ける。
一体何の話なのかよく分からない旭は、その様子を不思議そうに眺めた。
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