8 めでたく離婚は成立です

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毅は見栄っ張りで、買う服もバッグもブランドもので、とても高いものだった。 家に入れるお金がきちんとしていれば、そこは自由だと思っていたので咎めはしなかった。 ただ、そんなにお金を使って大丈夫なのかなぁと、思っていたくらいだ。 やはり、預貯金はあまりなかったのか。 旭への毅からの慰謝料は二百万円、彼女からは百万円。 新潟の実家が肩代わりするであろうことは、大方予想がついている。 しかし、そこまでストーリーを考えていたなんて、ある種、感心するばかりだ。 「あれ、ちょっと待ってください。彼女が私の収入とかを調べた、って言いましたよね?」 「うん、そうよ。旦那さんが、そう言ってた。あ、でも、これは内緒よ。守秘義務違反になっちゃうから。聞かなかったことにして」 「そう、ですか」 「あれ、どうした?」 いえ、と答えた声は、尻すぼみに消えていった。
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