8 めでたく離婚は成立です

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旭の収入を彼女が調べた。 つまりあの大喧嘩の時には、二人の関係が出来ていたかはさておいて、妻の会社についても話をし、なんなら愚痴をこぼすような間柄ではあったということ。 ただ、あの後確かに、毅と旭は一時期セックスレスとなったが、その後「子供が欲しい」と彼は言ったのだ。 いつから始まって、どのくらい続いていたのか。 そんなこと考えなくても良いけれど、よくもまぁ浮気をしておきながら、そんなことが言えたものだ。 子供が出来なくて正解だったのかもしれない。 「旭ちゃん、きっとね」 下を向いて考え込んでいた旭に、辻は努めて優しく語りかける。 「色々振り返れば、あれ?あれ?ってことはあると思うの。これから何度も。でもね、その都度ムカついてたら、あなただけ前に進めないじゃない。くだらないから、他にいい男見つけなさい」 「そう、ですけど……」 「小山内。とにかく、今日は飲もう。俺の奢りだ」 やった、と喜んだのは旭ではなく、辻の方だった。 これから、前を向かなければいけない。 そう思いながらも、旭はまだ後ろを向いている。
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