8 めでたく離婚は成立です

16/19
前へ
/689ページ
次へ
「ところでさ、プロポーズとかしたのって向こうから?」 「うぅんと、そうですね。私ではないです」 「彼、結構ロマンチストみたいだから、なんか凄いことしちゃったんじゃないの?」 数回会った程度の弁護士が、ロマンチストだと感じるなんて、毅は一体何を話したのだ。 グラスを揺らしながら見つめてくる瞳は、明らかな興味本位の色が、隠されることなく丸見えになっている。 「そんな面白いことでもないですよ」 「あ、大事に自分の胸にしまっておこうと思ってる?もういいじゃない。離婚したんだから」 「真弓、だから少しは自制しなさい」 「だってぇ。知りたいじゃない。ねぇ」 「いや、本当に普通ですよ。結婚してくださいってだけです」 嘘だぁ、と彼女は納得していない様子だったが、長谷川に窘められ諦めていった。
/689ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1570人が本棚に入れています
本棚に追加