9 人生の経験値

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「あまり気乗りしないけれど、分かりました。行きます」 「じゃあ、皆参加ってことでいいですね。僕が一番下なので、予約とか何でもやりますから。やりたいことがあったら、教えてください」 「川上くん、よろしくね」 大貴は嬉しそうに深々とお辞儀をして、どこかへ消えて行った。 花村のところにでも行ったのだろうか。 「旭さん。生意気なこと言って、ごめんなさい。でも離婚をされてから、寂しそうな顔をすることが多かったので、心配していたんです」 「うん。いいのよ。瞳子、ありがとう。花村に会うのだけは引っかかるけど、外に出て行かなきゃいけないのは、大事なことだよね」 柔らかな表情で彼女は、はい、と頷いた。 瞳子のような女性らしさが旭にもあったはずなのに、手を伸ばしても触れる気配はない。
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