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「そうだ。その時、何か料理教えてください。私、ちょっと料理が下手でして」
「あぁそうだったね。分かった。そんなにオシャレなものは、出来ないと思うけど。それでも良ければ」
「はい。お願いします」
彼女は壊滅的とまでは行かないものの、頓珍漢な味付けをしてしまう人間だった。
一度、手製の弁当だと言うものを一口貰ったが、とんでもなく甘い肉じゃがだったのを思い出す。
父子家庭の旭にとっては、幼い頃から料理は必須だったけれど、彼女はそうではなかったのだろう。
「じゃあ、せっかくだから今度のバーベキュー、じゃないか。パーティの前に、旭さん家とかで作って持って行きませんか」
「あぁ、別にいいよ。じゃあ、その前にメニュー決めないとね」
「そうですね。どれくらい手間がかかるのかとか良く分からないので、案だけ沢山出すので、旭さんピックアップしてもらえますか」
「オッケー。じゃあ、適当にメッセージ送ってね」
「了解です。じゃあ」
瞳子は浮かれた様子で、自席へ戻って行った。
自分もあんな風に楽しめるのだろうか、という不安が旭に過ぎる。
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