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「では、こちらはいかがですか」
辻が努めて冷静な声でそう言い、二枚の写真を追加した。
一枚は、旭の知らないアパートへ、毅と先ほどの女が入っていくもの。
もう一枚は、その二人が産婦人科から出て来るもの、だ。
ゴクリ、と大きな音を立て息を飲んだ毅は、もう蛇に飲まれるのを覚悟したように見えた。
「お認めになりますか」
辻の静かな声に観念したのか、毅はただ頷き、そのまま項垂れた。
事実だと本人が認めたのを目の当たりにすると、旭の心も少し波立っている。
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