7 夫の裏切り

12/13
前へ
/689ページ
次へ
「では、こちらはいかがですか」 辻が努めて冷静な声でそう言い、二枚の写真を追加した。 一枚は、旭の知らないアパートへ、毅と先ほどの女が入っていくもの。 もう一枚は、その二人が産婦人科から出て来るもの、だ。 ゴクリ、と大きな音を立て息を飲んだ毅は、もう蛇に飲まれるのを覚悟したように見えた。 「お認めになりますか」 辻の静かな声に観念したのか、毅はただ頷き、そのまま項垂れた。 事実だと本人が認めたのを目の当たりにすると、旭の心も少し波立っている。
/689ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加