証拠

知ってる女性が写真を撮っている。

だがそれ以上に気になることがある。

B「ねえ、首に巻いてるやつ、それ僕のだよ、返してよ」

A「ええ、だって暖かいもん」

B「僕の筋肉だぞ。ったく、人をバラバラにしやがって！」

A「だってもう、あんた死んでるじゃん。この筋肉は形見に貰ってあげるわ。バラバラの体の写真もちゃんと撮っといてあげたから」

B「このサイコパスが！」

A「これが法医学者としての私の仕事だから。でもバラバラにしたおかげで、あんたの死の真相がわかったわよ」

B「ええ？どうやって？」

A「殺害に到った凶器と思われるナイフの刺し傷が、あんたの脚の筋肉にもバッチリ残っていたの。検証したら、傷の形が古い西洋の刀剣の刃の型と一致した。それと同じ刀剣をコレクションしているのはただ一人。あなたよ」

B「…。」

A「脚の筋肉に残った、あなたの自殺の証拠を、ちゃんと見て貰おうと思ってね」

B「だからって首に巻くなよ！」

A「ええ、だって暖かいもん。夫のあなたが残してくれた最後の温もり」

B「…ごめん。君を残して勝手に死んでしまって…。その筋肉は僕の形見にしてくれ」