出会わなければ始まらない

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出会わなければ始まらない

本日は球技大会。 『バスケットの審判はバスケ部の有志の人がやってくれることになっているので、来た人にお願いしてください』 ってことで、コートの隅でしばし待つことに。 花村芽衣 高校2年の初夏。クラスの球技大会委員になり、仕事中。 「審判の人、まだかな?」 もう一人の一年生委員と雑談をしているところへ 「すいません。審判なんですけど」 と、2人の男子が現れた。 「あ、なーんだ相川じゃん。遅いよー」 一緒にいた一年生委員が一人に親しそうに声をかけた。 「ごめんごめん。さっきまでドッヂボールの試合だったもんで」 「えー?なに?勝ったの?」 「ああ。なんとかねー」 「やったじゃん!」 「あのぉ・・・」 おそるおそる芽衣が声をかける。 「あ、すいません。同じクラスなもんで、つい」 「いいえ。こっちこそごめんなさい。水差しちゃって」 「そんなことないっすよ。じゃ、始めましょう」 「よろしくお願いします。これ、ゼッケンと笛」 「じゃ選手の人、集まってくださーい」 試合終了。 「ご苦労様です。ありがとうございました」 「待たせてしまってすみませんでした」 そこへ 「おおーい!こうたぁ。次試合だぞ」 「おお。今行く」 「え?またすぐ試合なの?」 「そうらしいっすね」 「休む暇ないんじゃない?」 「ま、大丈夫ですよ」 「でも、水分はしっかりとらないと。はい」 めいはペットボトルを差し出した。 「大丈夫。まだ開けてないから。持ってって」 「ありがとうございます。じゃ遠慮なく」 ニコッと笑って呼ばれたほうへ駆けて行った。 「試合、がんばって!」 芽衣の声にちょっと振り向いてペットボトルを振りかざした。 「元気だなー。男の子は」 「すいませーん」 「あ、はーい」 次の試合のクラスの人に声をかけられて、めいは仕事に戻った。
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