縁がなければつながらない

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縁がなければつながらない

「え?なんであたしがさきのデートに付き合わないといけないの?」 「お願い。まだなんか二人っきりじゃ緊張しちゃいそうで」 こんな無茶なお願いをするのは親友の福原早紀。ちっちゃくてかわいいという形容詞がぴったり合う。 先日、どうやら彼氏とやらができたらしく、芽衣もいろいろ話は聞かされているが・・・ 「あとね、めいに紹介したいの。彼のこと」 潤んだ上目遣いで懇願されると、彼女には弱い。 「ふー・・・わかった。付き合うよ」 「よかった。ありがとうめい。お礼はたっぷりするから♪」 「いいって、そんなこと。あたしの早紀にちょっかい出すヤツがどんな輩か見定めてやる」 「ええー!ちょっとそういうつもりじゃ」 「あはは。冗談だよ。早紀が選んだんだもの。悪い奴じゃないってわかってるよ」 「でも、大丈夫って太鼓判押してほしいのかもしれないな・・・あたしも」 「早紀、心配ないよ。中学の時とは違うって」 芽衣は早紀の頭をなでながら答えた。 そして、デート当日。 「ゆうきくんもお友達連れてくるって言ってたけど・・・」 「あたしがあぶれないように配慮してくれたのかな?」 申し訳なさそうな顔の早紀。 「心配ないよ。あたしのコミュ能力、なめんなよ」 「もー、芽衣はー」 そこへ 「早紀さん。待たせちゃった?」 後ろから声をかけらると、早紀がうれしそうな顔で振り返った。 (一年生だって言ってたけど、さて、どんな奴かな?) 芽衣も一緒に振り返ると、なかなかの好青年が2人そこに立っていた。 「えっと、彼が大野勇樹君」 「よろしく、花村芽衣です。お噂はかねがね」 「もー!やめてよ芽衣」 照れて少し頭をかきながら 「初めまして、大野です。今日はありがとうございます」 と、好青年は答えた。そして 「で、こっちが友達の相川康太」 後ろの好青年に目をやる。 「あ・・・」 「あれ?・・・」 お互いに驚いた声を出す。 「なに?康太知り合い?」 「あー。知り合いっていうか、球技大会の時ちょっと。その節はどうも」 「いえいえ、こちらこそどうも」 芽衣と康太はお互い軽く会釈をした。 「なになに?どういうこと?」 小声で早紀が芽衣に話しかける 「うん。球技大会の時にちょっとね」 「そうなんだ。まったくの顔見知りじゃないんだ。ちょっと安心した」 「そだね。あたしも安心した」 「じゃ、移動しますか」 勇樹が率先して歩き出す。隣をにこやかに歩く早紀。 その後ろに芽衣と康太。 (嬉しそうだなー。早紀。大野君もいい人そうだし) まるで見守るような優しいまなざしで二人を見つめている芽衣。 それに気づいた康太が声をかける。 「なんか、保護者みたいですね」 その言葉にフッと笑いながら 「お互いにね」 と芽衣が答えた。
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