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会う回数がものをいう
「めい~。教えてほしいところがあるんだー」
「じゃ、いつものとこねー」
と近くのコーヒーショップへ。
しばらくすると、早紀の方はソワソワし始める。
実は勇樹の部活が終わるのを待っているのだ。
(もー、かわいいなぁ。早紀は)
今回は勉強と言っているが、ただ単に時間をつぶすこともある。
芽衣もそれがわかっていながら付き合ってしまうお人よしだ。
「あ、勇樹くんたちがきた」
小さく手を振る早紀。それに気づいて勇樹が近づいてくる。その後ろから、もう一人。
「早紀、お待たせ」
(あら?いつの間にか呼び捨てしてる)
「あ、勉強中?じゃましてゴメン」
「大丈夫だよ。少し休む?」
勇樹が早紀の隣の席に腰かける。
「どうも」
後ろから来た康太がにこやかに隣の席へ。
「芽衣は頭いいんだよ。勇樹君たちもわからないとこあったら聞くといいよ」
「へー、そうなんだ」
と、先に反応をしたのは康太の方。
「そ、そんなことないよ。まったく早紀は!」
「えー、じゃ早速・・・」
とカバンから教科書を取り出す勇樹。この数週間、こんな感じで顔を合わせているので気兼ねなく話をするようになっていた。
「しょーがないなー。どこ?」
「じゃ、あたしコーヒー買ってくるね」
「あ、いいっすよ。オレ行くから。早紀さんすわってて」
「あ、オレブラックね」
「おまえ、遠慮ってもんがないのかよ」
「いいじゃんかよー。こっちは大変なんだよ」
「まったく。じゃそっちは何にします?」
「あたしはアイスティーにしようかな?芽衣は?」
「あ、あたしはアイスカフェラテ。氷少なめミルク多め・・・ってあたしはいいよー。申し訳ないから」
「遠慮しなくていいって。じゃ」
康太の方も勇樹と一緒にいることが多いのですっかり打ち解けていた。
しばし、勇樹の勉強を見ながら雑談。
「あ、もうこんな時間だ。今日、食事当番なんだ。弟が帰ってくるとうるさいから先帰るね」
「あ、今日おばさん夜勤なんだ。引き止めちゃってごめんね」
「ううん。いいって。じゃぁね。コーヒーごちそうさま」
芽衣はそそくさと家に帰って行った。それをただ見つめる康太。
その様子を見て、何かを感じた早紀は
「康太君。芽衣っていい人でしょ?」
「うん。面白い人ですよね」
そう言いながら、康太はずっと芽衣が出て行った方向を見つめていた。
家に着いた芽衣は電気がついているのを見て
「あちゃー、帰ってきちゃってるよ」
と言いながら家に入る。
「ただいまー。ごめーん、遅くなっちゃって」
「よお、めー。お邪魔してるよ」
居間でくつろいでいる男子一名。
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