依頼

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「それで姐御とは、どのような意味ですの?」 「いいんだよ、そんなことは知らなくて。トラジロウはいい奴だから良いけど、あんなチンピラみたいな奴にうかうかついて行っちゃいけないよ。悪い奴が大勢いるんだから。――ところでその、あんたのお相手……トミーだっけ? どこの家の者なんだい? もしかしたら今頃、身代金を要求する手紙か何かが届いているかも知れない」 「トミーは路地裏育ちで、親兄弟もおらず家の名も持たないと……」 「えっ、そうなの?!」 「でも、とても(うじ)の無い者のようではございませんの。毛皮の手触りといったら、どんな高級ビロウドだって及びも付かず、顔の配色のバランスも最高で、とっても美しい三毛ですのよ」 「ちょーっと待ったっ! 三毛?! なにそれ、猫族ってこと?」  クリスティーナは、きゅっと唇を引き結んだ。 「やはりあなたもおっしゃいますか。非生産的だと」 「え……?」
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