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これらの傷跡が消えてしまいませんように、と願った。この傷は私が苦しみ抜いた証。その証が消える事は辛い。傷が消えてしまう前に新しい傷をまた作る、の、繰り返しだった。そして、ある時グッサリ切ってしまい傷口をタオルで押さえ、夜、救急車を呼んだ。子供達は大好きなママが死んじゃうんじゃ無いか、と恐怖でワンワン泣いていた。本当に、やってはいけない事を私は、してしまった。子供達に消えない心の傷を作ってしまった。悲しい記憶を作ってしまった。でも直ぐには私の心は変われなかった。苦しみながらも、隠れて何度かしてしまった。このまま一生繰り返していくのだろうか、この呪縛から逃れる事は出来ないのだろうか、と苦しんでいた、そんな時、私に乳癌の疑いが有る通知が届いた。私は目の前が真っ暗になった。初めて死と直面したのだ。死ぬ事が怖いのでは無い。この子達は私が居なくなったら立ち直る事の出来ない大きな悲しみにくれ、きっと、どうにか、なってしまうだろうと、それが一番怖くて頭がいっぱいになった。
そして自分の腕を見る。
ああ、なんでリストカットなんて、したのだろう。どうして自分から死に近づくような真似をしたのだろう、と心から後悔した。
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