第壱章   蛙人間《ヘケト》

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ーー翌朝ーー 歯磨きをするラミントン 朝ごはんを食べるガレット ブラトップにカーキのミリタリーパンツで腕立て伏せをするファッジ。 露わになっている白く引き締まった腕と軽く割れた腹から汗が流れる。 そんな露出したファッジの姿に気付くこともなくプレオールはまだ懸命にキーボードを叩いている。 腕立て伏せをやめ、腕で汗を拭うファッジが二人に指示を出す。 「私は本来の任務に戻り、峻険(しゅんけん)の森に行く。お前らは新たな被害が出ぬよう警護にあたれ。プレオールが情報をまとめ次第、軍事施設の調査を始める」 「…了解です。何かあれば無線で知らせるのでつけていってくださいね」 「えー、オレも森に行きます!」 ラミントンは聞き分けよく返事をしてガレットは駄々をこねる。 「お前が森に行ってる間に襲撃されてこの車が横転したら誰が持ち上げるんだ?」 「ラミントン?」 「…無茶言わないでくれる」 チッと舌を打つガレット。 「五家宝(ごかほう)に繋いでくれ。ラミントン(タマ)は足りてるか?」 ラミントンはコクっと(うなず)き、無線機のスイッチを入れる。 「特殊保安部隊ファッジだ。おっさん、起きてるか」 ププ『こちら兵器開発本部・五家宝(ごかほう)。ふぁ~こっちは徹夜だよ~』ププ 「徹夜明けに悪いが武器の転送頼む。携帯クナイ10本とオススメの特殊手榴弾適当に見繕(みつくろ)ってくれ」 ププ『ここは行きつけの寿司屋じゃねぇぞ、ファッジさんよ』ププ 「あんたの武器もセンスも一流だ。頼りにしてる」 ププ『そう言われちゃ敵わんなぁ~…10分以内に転送する』ププ 「よろしく」 短めの通信を終え、程なくすると転送機が動作を開始する。 『ロックヲ確認シマシタ。転送ヲ開始シマス』 ブーンと音がなる。 『受信シマス。離レテクダサイ』 機械から注意喚起が発せられる。 ブーン、ブーン、ブーン、ブン、ブン、ブンッ、シュワッ! 『受信完了シマシタ。転送物ヲゴ確認クダサイ』 ガチャっとロックを外し中身を確認するファッジ。 携帯クナイはコンパクトに折りたたまれており、使いたい時だけ輪と刃先が出る携帯用のクナイだ。 カシャン、カシャンと動作を確認する。 特殊手榴弾にはそれぞれ『笑狂』『吐酔』などの効果を示す表示がある。殺傷能力はなく、あくまで敵の攻撃をかわしたり、注意を逸らしたりするための武器だ。
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