第壱章   蛙人間《ヘケト》

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「あんたが隊長のファッジさんか。えらい美しいお嬢さんだな」 特殊保安部隊一行は成金屋敷に招かれ、ボスの部屋に通されるとゴージャスなソファに浅く腰掛け葉巻を吸っているボスが出迎えた。 オジサンがボスに耳打ちし「クソ、またやられたか…」とボヤいている。 恐らくオジサンの相方のことでも報告したのだろう。 そこへセクシー美女がブランデーの入った人数分のグラスをボスの前のテーブルにトレイごと置き、軽く会釈(えしゃく)して遠くの椅子に腰掛けた。 「どうも。特殊保安部隊のファッジだ。話は粗方(あらかた)聞いた。半人半獣保護の観点から調査に協力する。北の国(ボリアオーヒ)の軍事施設調査に踏み込む予定だがその前に情報がほしい。あんたが持ってる情報をくれないか」 「ああ、いいとも。だが条件がある」 葉巻を吸うボスが特殊保安部隊をジロリと見渡す。 「なんだ」 ファッジは(ひる)むことなく座っているボスを見下げる。 「俺の部下も調査に同行する。話はそこからだ」 葉巻をファッジに指しながら言った。 「見張り(けん)偵察ってとこか。ダメだ死体が増える」 はっはっはっはっはーといきなり大声で笑いだすボス ファッジは相変わらず無表情だが、隊員は鳩が豆鉄砲を食らった顔をしている。 「言うじゃねぇか!頭の切れるお嬢ちゃんだ。伊達に隊長じゃねぇな」 ファッジはテーブルのグラスを手に持ち、黙ってゆらゆら揺らしている 「俺の部下が何人かやられちまったのは事実だ。けど黙って見てる性分じゃなくてよぉ!俺の部下も腕は立つ。あいつも元軍隊だ。足手まといにゃならんだろ」 森で出会ったオジサンを葉巻で指して言った。 ファッジはブランデーのグラスを傾け隣のグラスに注ぎ足す。 「勘違いしてもらっちゃ困る…助けがいるのはあんたらだろ?早期解決を望むならさっさと情報を渡して私達に任せておくのが得策だ」 そう言いながら、更にもうひとつグラスを傾け、(かさ)を増していくブランデー 「ふんっ。そうは言うが、途中で投げ出されたら敵わねえしな。ガキばかりの特殊保安部隊とやらに全任するのは心元(こころもと)ないって大人の意見だ。悪く思うな」 最後のグラスを傾けグラスいっぱいに足されたブランデーを手に取るファッジ
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