第壱章   蛙人間《ヘケト》

22/51
前へ
/59ページ
次へ
赤い絨毯を踏みながらファッジを先頭に歩く特殊保安部隊 「プレオール、お前の情報が役に立った」 「いえ、お役に立てて光栄です。それに…その…」 「なんだ」 「…最高でした」 はぁはぁしながら眼鏡をぎらつかせるプレオール ラミントンとガレットが飽きれてプレオールの一歩前に出ると二人で壁を作り、興奮状態のプレオールをファッジから遠ざける 「ファッジさん」 早足でオジサンが追いかけてくる 足を止める特殊保安部隊 「これ、調査に使ってくれ。今まで集めた情報」 オジサンの手には小さな記録媒体(チップ) それを最後尾のプレオールが受け取る 「ボスが失礼を…申し訳ない。ああいう人だけど誰よりもこのミクリ村を大事にしているんだ。許してやってくれ」 「オジサンが謝ることじゃない。協力に感謝する。何か進展があったら報告すると伝えてくれ」 「ありがとう。あんたらの健闘を祈る」 成金屋敷を出る頃には日を(また)いでいた。 屋敷の敷地内に止めてある迷彩の車両に全員乗り込むと、そのまま一晩過ごした。 プレオールはオジサンにもらった記録媒体(チップ)からこれまでの経緯や、わずかだが北の国(ボリアオーヒ)の軍事施設の内部情報を入手した。 明日(あす)からの調査のため夜通しデータ処理に追われたのであった。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加