第壱章   蛙人間《ヘケト》

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ファッジがニヤっと意地悪な顔をして二人の会話に横槍を入れた。 「…………仕事しましょ」 少し照れくさそうにしながら愛銃に磨きをかけるラミントン。 「そうだな、そろそろ行くか。プレオール、作業が終ったら報告してくれ。常に防御壁(シールド)を張って作業しろ。移動するときもな」 「は、はひ…了解です…」 徹夜でボロボロのプレオールだが手は止めない 「ガレット、ラミントン、お前らは必ず二人で行動しろ。あと…」 ファッジが眼光を鋭くして言った。 「誰も殺すなよ」 「はい」「…はい」 二人が返事をするとくるっと出口に向かいウィーンと開いた扉からすっと出て行った。 「…泡雪がラミントンをね~…」 ガレットがポツンとつぶやく 「…もういいって。」 ラミントンはうんざりした顔をする 「泡雪、人形みたいで可愛いじゃん。タイプじゃないの?」 「…タイプなんてないよ。もうこの話はおしまい」 「んだよ、つまんねぇ。ラミントンはファッジさんコンプレックスだからな!ファジコン」 「…なにそれ、聞いたことない」 「ラミントンはファジコンでプレオールはファッジ崇拝者」 「ちょっと聞こえてるよ!ガレットこそファッジ隊長の金魚の糞じゃないか」 バックミラーを見ながら声を張るプレオール 「てめぇは口の減らねぇ眼鏡だな!」 「…やめようよ…懲りないな…」 「うっせぇ、ファジコン。警護に行くぞ!」 慌てて愛銃をホルスターにしまうラミントン 「…はいはい。プレオール、後よろしくね」 「行ってらっしゃい」 ウィーンと二人とも出て行くと先ほどまでの騒がしさとは対照的にシーンと静まり返る車内。プレオールのキーボードを叩く音だけが響いた。 「ん?これって…」 プレオールがディスプレイを覗き込み考え込んだまま固まった…
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