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帰りの車中はさすがに疲れたみたいで、青木さんとひなは後部座席で寄り添って眠ってる。
運転席と助手席では富田さんとミクちゃんが二人の世界を作ってるし……。
俺とゆいらは……
小さな温もりが手に触れて、きゅっと掴んできた。
ゆいらの方から手を握ってくるなんて珍しいな……。
「昨日も今日も、すっごく楽しかった……それに……嬉しかった。ありがとう、リヒト」
頬を染めて見上げながら言われて、それだけでも可愛過ぎて心臓が壊れそうなぐらいヤバい。
…更に昨日の夜のアレまで思い出しそうになって慌てて頭から追い出した。
「……俺も、今まで何回も来てたけど今年が一番楽しかった。好きな子と過ごす夏ってこんなに、特別なんだなって……幸せだって」
「私も……幸せ」
二人で手を繋ぎながら微笑み合った。
「初々しいなー」
運転席からボソッと聞こえた声。
……よく言うよ。
自分だって、信号待ちで止まる度に手ェ繋いでるクセに。
……でも、去年なら考えられなかったようなメンバーでの旅行。
思った以上に……楽しかったな。
いつまでも心に残りそうな、キラキラした満たされた時間だった。
「また行こうな」
「うん」
……後日。
「リヒト……おじさんの旅館に行ったんだって?しかもゆうじくんも一緒に……」
「……リョウ兄、なんでそれを……」
「母さんに聞いたんだ!!なんで俺も呼ばない!?」
ひなが絶対呼ぶなっつったなんて……言える訳ねーじゃねーか……!!
……こうして、楽しい旅行は後に予想外の悲劇も引き起こしたのだった。
・:*+.End.:+
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