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2.リヒトの好きなもの
「いらっしゃいませー!」
親戚のおじさんが旅館の近くに出してる海の家。
毎年、泊まらせてもらう代わりに店を手伝っていた。
今年は2人ずつ交代で手伝うことに。
「ゆいら、大丈夫?疲れてないか?」
「うん、大丈夫」
「ラッシュガード、脱いだら?暑いだろ?」
「あ、そっか。ここは日陰だもんね…忘れてた」
店の端っこに行って、ゆいらがラッシュガードを脱ぐ。
夏にしては白過ぎるぐらいの滑らかな肌が露わになった。
…そうか!下は水着なんだ!!
「ちょっと待った!!コレ着て!!」
慌てて着替え用に持ってきたTシャツを渡した。
俺のサイズだからお尻まで隠れるぐらいの長さがあって、細い脚がシャツから覗いて……なんか余計にエロくないか!?
って……何考えてんだ俺!!
邪念を振り払いつつ仕事をしていると、客の男二人がゆいらに話しかけてきた。
「キミめちゃくちゃ可愛いねー」
「俺らと遊びに行かない?何時までバイト?」
「い、いえ…困ります……」
「えーいいじゃん!名前なんていうの?」
バシャッ
咄嗟に手に持ったかき氷を、手がすべったフリをしてそいつらにぶつけていた。
「あっすみませーん!」
「冷たっ……何すんだよ!?」
「手がすべって……ベタベタするから流しに行かれた方がいいっすよ!!商品のお代はサービスさせてもらいますんで!!」
「……ありがとう、リヒト」
「いや……カッコいい助け方じゃなくてごめん」
リョウ兄に護身術も習ってたしその辺の男には負けない自信あるけど、店の中で騒ぎは起こしたくない。
「乱暴なことされるよりもずっといいよ……?」
にっこり微笑むゆいら……可愛すぎる。
これじゃこの先も心配だ……。
とりあえずゆいらには中で調理を担当してもらう事にした。
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