オリジナル

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 周りの人間は地味子やら一人ちゃんなど呼んでいるが、私からしてみれば、面倒な女関係を回避できて、自分を貫いているその姿に、いつも感嘆を憶えていた。  一人ちゃんになりたい。  彼女に近づくためにどうすればいいかと本気で考えているのだが、彼女と話しているところを見られたら、周りの友人からも変な扱いを受けるため、物理的に近づけないでいた。  結局保身に走り、ビビって話に行けない私自身が一番弱い、という現実をいつも突きつけられているけれど、その弱さを言い訳に何も行動しないでいた。  何か機会があればすぐ話すのになぁ……。  そんな時だった。 「じゃあねー、美奈子。アタシらこっちだから」 「うん、また明日ね」  いつも一緒にいるグループ(本当はグループという概念も嫌いなのだが、女社会はグループがすべてなのだ)の友達と別れ、笑顔で手を振る。  ようやく気持ち的に楽になった。  いつもこの家に帰るまでのこの瞬間だけが私にとって楽園なのだ。  誰のことも気を遣わず、それでいて、誰の目線も気にしなくていい。  学校にいる時もこれなら気を遣わずに楽なんだけどなぁ。  一人ちゃんはいつもこれだから羨ましい。  自分の好きな読書に耽って、周りの目線も気にしない。 グループや派閥、スクールカーストなんて全く気にしない。 毎朝毎晩ツイッターやインスタを確認しなくても気にしない。     
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