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(この千載一遇のチャンスをみすみす逃すのか?)
その思考は当然であった。
いつも他人の目線を気にして生きている私だけど、今は誰もいないため、ゆっくりと一人ちゃんと話せる機会なのである。
「――ちょっと待って!」
無意識に彼女を引き留めていた。
色んな意味で胸がドキドキしていた。
告白なんてしたことないけれど、こんな感じなのかな、と悠長に考えれるほど体感時間は長かった。
ゆっくりと振り向く一人ちゃんは、めっちゃ面倒くさそうな顔をしていた。
「なんなんだよお前? さっき用無いっつったじゃん」
あぁ、こういうところだ。
他人にどう思われるかなんて気にしない唯我の化身。
私は、この人みたいになりたいんだと改めて実感する。
「いや、やっぱあったの」
「んで?」
今心拍数を計ったら人類最速と自負できるくらいバクバクしていた。
額から出る汗が止まらない。
また手が震える。
視線も焦点を合わせられない。
「えっとね、あの……」
何から切り出せばいいんだろうか。
思考が定まらないのに口だけは「あー」やら「んー」などと動く。
「なぁ、もう帰るぞ?」
やめて! 帰らないで! もうちょっと待って!
「どうやったらぼっちになれるの? ……あ」
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