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なんでよ私? 数あるセリフの中でどうしてそれ?
目の前の彼女を恐る恐る見てみると、可愛い顔が台無しになるほど彼女を怒らせてしまったようだった。
「……なぁ、ちょっ――」
「ひぃぃ? ご、ごめん!! 今のは違うの? だからそんな怖い顔しないでっ!」
「いや、ゆっくり話そう。あそこのカフェで」
どういう意味なのか尋ねるのが怖すぎて、
「は、はい……」
大人しく拉致されることにした。全面的に私が悪いんだけれども。
誘拐犯は見た目通りに可愛いイチゴラテを頼んでいて、先に席に座っていた。
「んで、さっきのはただのからかい、ってわけじゃなさそうだけど」
私の失言をどうやら見抜いていたっぽくて、胸をなでおろす。
「うん、悪い気をさせたのなら謝るね。というか、普通に謝る、うん。ごめん」
「なんで謝るんだよ」
「いや、『一人ちゃん』って呼んでたのは事実だったし。嫌でしょ、この渾名」
散々私は脳内で一人ちゃんと呼んでいたけれど彼女からしたら、侮蔑の意味に聞こえているかもしれない。
「あぁ、そんなことか。好きで一人でいるし別に気にしてないよ。それよりあなたは確か同じクラスの――、橋本なんだっけ? すまん」
「いいよ! 私は橋本美奈子。橋本でも美奈子でも好きな方で呼んで!」
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