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「でも、一人ちゃんは違うじゃん。常に周りのことなんて気にせずに自分を出していて、なんだか尊敬できるっていうか、憧れるっていうか……。だから、私は一度話したかったんだ。どうすれば一人ちゃんのようになれるのかって」
そこまで言うとボトルを机に置き、話しかけてくる。
「ふーん、何となくは分かっていたけど」
「え、わかってたって?」
「教室にいる時に美奈子の目線を感じる時が結構あったからね、それも私のことをねっとりと観察するような」
それは何と恥ずかしいことだろう。
「い、いや! 見てたのは事実だけど、観察とか、そういうんじゃないって!」
「物は言いようだ。さて、本題に入るか。何だって私になりたいんだと?」
「そ、そうそう! どうすればそんな人のことを気にせずに生きていけるんだろうって!」
向こうから話題を戻してくれたことを幸いに必死に話す。
「んー、髪切って眼鏡かけて……ってすればいいんじゃない?」
ズコッ、と椅子から転げ落ちる。
どんだけ冗談好きなんだ、この人は。
「いや、そういう見た目の話じゃなくて、もっと中身の話!」
「悪い悪い」
頬を少し上げてクスッと笑う彼女は学年一可愛いと思った。
私が男子なら絶対一人ちゃん狙うのに。
そんな邪な考えを抱いていると彼女は、でもなー、と続けて、
「そんなん私自身が一番分からないんだが」
確かに言われてみたら、自分のことを客観視する難しさはかなり高い。
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