オリジナル

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 私は自己嫌悪に陥りまくって半強制的に客観視していたが、急に自分について話してと言われても就活生じゃなきゃ無理だ。 「あ、まあ、そうだよねー。ははは」  これは解散の気配がした。  今回得られたことはほぼ無いが、一人ちゃんとじっくり話せてよかった。  意外と親身になってくれるし、話していくうちに口調も丸くなってて話しやすかった。  それが知れただけでも大いに収穫と言えるだろう。  まだまだ知りたいことは多いし、もっと仲良くなってみたいと思ったけれど、次の機会までにお預けになりそうだ。 (次の機会かー、それっていつだろう……。)  もう中身が残っていないのに私はストローに口をつけて、氷が解けた時に出来た水を吸い上げる。  そんな姿を見てか、一人ちゃんは私に提案をしてくれる。 「なあ、美奈子。部活やってるか?」 「へ? 部活? いや、帰宅部だけど」 「んじゃ、文芸部入らない? 私も入ってるし」 「文芸部?」  オウム返しに聞き返す。 「そう、もし私になりたいんなら、近くにいればわかるかもよ?」  それは一理ある。  というか願ってもない申し出である。  クラスで話すと角が立つけれど、部活で話す分にはなんの問題もないだろうし、今以上に一人ちゃんについて知れるまたとない機会が日常的に増える。     
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