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しかし、それぞれの部屋が広い為、隣室に行くまでに1分弱掛かってしまう。したがって、天音が寮(の部屋)に帰るまでに、10分足らず。
それに対して、エントランスにいる千乃が部屋に戻るのに2分。着替えるのに5分掛かったとして、天音の部屋に行くまでに早くても8分程掛かってしまうので、やっぱり時間的に丁度いいのだろう。
-清陵学院 高等部学生寮 9階-
天音がエレベーターから降りた時。ちょうど部屋から出た千乃とかち合った。
「お、ホントにピッタリ。流石、俺。」
「千、それ『自画自賛』ってゆーんだぞ。ま、いっか。入って。」
得意気に、ドヤ顔で言う千乃に呆れた顔と声音で言ってから、天音は先に立ち『ピッ』とカードキーで部屋のロックを解除した。ドアを開け、千乃に入るよう促す。
「俺、着替えてくる。千、コーヒー淹れといて。」
言いつつ、天音はリビングを抜けて自室に入った。普通、もてなす(コーヒーを淹れる)のは部屋の主である天音がするべきこと。
だが、これはいつものことで、千乃も当然のようにコーヒーメーカーの準備をする。実際、千乃の淹れたコーヒーは美味しいのだ。
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