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そのことを充分に理解し、よくよく肝に命じておくべきなのだ。そんなことを延々考えていた天音だったが……………
-くしゃくしゃ
「考えすぎねーで、もっと気楽に構えとけって。眉間に皺寄ってるし。」
隣を歩く千乃に、頭を撫でるように髪をかき混ぜられた。天音が自分より若干背の高い千乃を見上げると、千乃は優しい表情で微笑っている。
「もー、何すんのさ。乱れちゃうじゃん!」
ブツブツ言いながら、髪を纏め直す。元々、天音の髪はクセのないストレートなので、手櫛で直せる。それほど凝った髪型でもないし………。
「………これで良し。ん、今日も1日『チャラ男演技』頑張るぞ~☆」
そう言った天音は『チャラ男モード』にシフトチェンジした。ユルい笑顔と喋り方、やっぱり天音の演技は『完璧』だった。
(………まぁ、俺はいつもの天の方が好きなんだけどな。……言うだけ無駄かな。)
天音の素を知っている千乃は当然、天音が『チャラ男演技』している理由も知っている。
だから。そのことについて、特に言及する気はなかったから。
勿論、言うだけ無駄だと思っているからでもあるけれど。
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