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-清陵学院 第三会議室-
先程の千乃の爆弾発言について。詳しい話を聞くため、天音は半ば引き摺るようにして、千乃を第三会議室に連行して行った。
「んじゃ。詳しい話、聞かして貰おうか、千乃さんよぉ~?」
すっかり、素に戻る………どころの話ではなく、チンピラの如く、柄の悪くなっている天音。口調と声音からして、怒ってる………と言うか、不機嫌MAXだ。
「詳しいも何も、音羽さんから聞いてないワケ?いつだったか『千乃君にも可愛いあーちゃんをお届け♪』って画像付きメールが来たんだよ。」
一応、緊急用だったのだが、音羽と千乃は互いのアドレスを知っている。メル友なワケではないので、普段はメールのやり取りなどはしていなかったのだが………。
「おのれ、母さん………恨む。消して、今すぐ消して、その画像!」
「はぁ?やだよ、こんな綺麗な天、もう2度と見らんないかも知んないんだし!」
「未来永劫ないから!良いから消して、今すぐ消してっつってんじゃん!」
そう言いながら、天音の千乃のスマホを奪おうと、手を伸ばす………が。
『サッ』と天音の手を躱し、スマホを抱え込む。元々、千乃は天音の顔が大好き故、女装した天音は、〝理想の女性像〟そのものなのである。
-そんな〝お宝画像〟を消すことなど。出来
るはずがなかったのだ-
一方。スマホを奪う直前で躱された天音は、バランスを崩し、倒れそうになった。
「避けんな、千!って、うわっ?!」
「バカ、天!あぶねぇっ!」
-ドッシン、ビタンッ
衝突音と悲惨な音がした。天音は反射的に目を瞑っていたが、音に相応しいような痛みはなかった。
おそるおそる、目を開ける。仰向けに倒れた天音の後頭部は、千乃の手でガードされていた。『ビタンッ』と言うのは、千乃の手が床に打ち付けられた音だったらしい。
「あっぶね、間一髪。天、痛いトコ……ない、か………」
不自然に途切れた、千乃の言葉。咄嗟に千乃が天音を庇ったせいで、おかしな体勢になったらしい。
千乃が天音を押し倒したような体勢になっていた。そして、天音の後頭部に千乃の手が包むように添えられている。
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